今回は、神奈川県横浜市の個人のお客様よりご依頼頂きました、アストンマーチンDB9の天井張り直しを紹介させて頂きます。
天井修理には、「天井張り替え」と「天井張り直し」があります。張り替えというのは、垂れてきた純正生地は使用せず、新しい天井専用生地に張り替える施工方法です。これに対し、張り直しというのは垂れてきた純正生地を再利用する施工方法になります。張り直し可能な生地は、アルカンタラ・本革・ビニールになります。金額面では、再利用の方が安くなると思われがちですが、実際は再利用(張り直し)の方が工数が多いため割高になります。しかし、純正素材を再利用するため他の部品との違和感が出ず、調和の取れた車内を復元できるという最大のメリットがあります。

今回は、アストンマーチンDB9に使われている純正生地がアルカンタラでしたので、お客様より張り直しでの施工のご依頼を頂きました。

では、施工前の状態を見ていきましょう。

アストンマーチンDB9天井張り直し

見事に全垂れしていますね。かろうじて、ピラーや内張りに挟まれて止まっているという状態でした。
この状態で部品を外していくと天井生地が落ちてくる事が予想されますので、テープで止めながら部品を外す施工が求められます。また同時に今回は張り直しなので純正のアルカンタラを汚さない施工にも注意が必要です。
では、私とスタッフで作業を進めていきます。

案の定、部品を外すそばから天井生地が落ちてきたので、テープを張りながらの作業となりましたが、車内を汚すことなく天井の取り出しに成功しました。

アストンマーチンDB9天井張り直し

天井が取り出せたので、次の作業(クリーニング)に入ります。
通常は、垂れてきた生地を無造作にはがしていきますが、今回は張り直しなので純正生地を再利用するため汚さないよう注意が必要になります。

アストンマーチンDB9天井張り直し

無事生地を汚さずはがすことができました。写真に見えているオレンジ色の物体は劣化したウレタンになります。天井がはがれる原因は、接着剤の劣化だと思われがちですが、主原因はこの劣化したウレタンです。
当店のクリーニングは、2ステップで行います。
1つ目は、劣化したウレタンをブラシで除去します。2つ目は、溶剤やクリーナーを使用し表面のべたつきを拭き取って仕上げます。

アストンマーチンDB9天井張り直し

上の写真が、ウレタンをブラシで除去後です。表面のウレタンを除去しましたが、まだ細かいウレタンの粉や、表面のべたつきが残っているのでステップ2の溶剤を使って仕上げました。
写真の撮影を忘れてしまいましたが、この後、アルカンタラの裏面も同様にクリーニングしました。

クリーニングが終わったら、まずは下地ウレタンの貼り付け施工になります。接着剤を塗布し、下地ウレタンを張り付けた状態がこちらになります。

アストンマーチンDB9天井張り直し

張り替えであればこれで完了になりますが、今回は張り直しなのでこの上から更に接着剤を塗布し、純正のアルカンタラを張り付けていきます。

アストンマーチンDB9天井張り直し

純正のヘッドライナーの復元完了です。最後の工程、組付け作業を行います。

アストンマーチンDB9天井張り直し

純正ヘッドライナーの組付け完了です。やはり張り直しにしないと、他の内張と違和感が出てしまって、アストンマーチンの価値が下がっちゃいますから、費用をかけてもこのタイプは張り直しをお勧めします。

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